ITUワールドカップ宮崎大会2017レースレポート

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今シーズン最大の目標としていたエイジランキングチャンピオン。村上大会終了時点で満点(58pt)獲得、ランキング1位を死守していたものの、宮崎大会でライバルが勝てば満点で並ばれポイント獲得大会数で敗けが決まるという崖っぷちの状況。ぜったいに負けられない戦い。シーズン当初はエイジランキングで勝つことを軽く見ていた面があった。しかし、40代の親父達の強さは自分の想像を越えていた。

2017年エイジレース成績(宮崎大会まで)
石垣島大会 総合2位(エイジ1位)
白浜大会  総合7位(エイジ2位)※エイジ優勝下野善弘選手
愛南大会  総合5位(エイジ4位)※エイジ優勝三宅真一選手
蒲郡大会  総合5位(エイジ1位)
大阪城大会 総合5位(エイジ1位)
長良川大会 総合11位(エイジ1位)

自分は、4月緒戦の石垣島こそ勝ったものの、5月からの連戦で調子を落とし、白浜で同エイジの下野善弘さん(神奈川県)に、愛南では「小豆島の黒鬼」三宅真一さん(香川県)に完敗。そんな中逆転を期した蒲郡、大阪城とA大会を連続で獲ることができた。この時点でこれでほぼ決まった!心に隙が生まれていた。

油断から7月にはふくらはぎの怪我をしてしまい、9月まではランは控えて治療に専念せざるを得なくなった。ようやく10月に入りトレーニングを再開。そんな中、一方のライバル達は7~8戦の連戦につぐ連戦をこなした着実にポイントを積み重ねてきた。何とか手負いの状態ではあったものの、長良川大会でエイジ1位を死守し満点の58ptを獲得。自分の出なかった村上大会は村上選手が勝ってくれたこともあり、結果ここ宮崎で直接対決、勝ったものがチャンピオンとなるという状況。みんな仕上げてくるはず。分かりやすくていいぜ!

周りのサポートもあり、最終2週間の調整がうまくいった。2週連続の台風直撃により、割り切って休養でき下手に練習しなかったのが良かった。そんな中でもランのポイント練習(12日前10kmペース走、10日前ヒルインターバル200m×10、7日前トレラン8kmレース)だけはしっかりと集中して実施。体のキレを出すことができた。誰が勝ってもおかしくないレース。あとは「気持ち(メンタル)」の勝負だ。

今回のレース目標は総合上位よりも、エイジ優勝。しかし、それでよいのか?という気持ちもあった。駒野君、村中君を始めとする30代の強豪エイジ選手が集結している。今シーズン、全く勝負できていなかった彼らと「レース」がしたい。彼らに勝てばエイジでは絶対に負けないはず。優勝は無理でも3位入賞を目指したい。

そんな心境でレース当日を迎えた。

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スイムコースは湾内を泳ぐ750m×2=1500m。
40代は第2ウェーブ。3分前の第1ウェーブをうまくかわしながらどこまで順位を上げられるか?が鍵となる。水温は21度とこの時期にしては温かい。もちろん自らが開発設計した最強のウェットスーツ「鏡花水月」を着用。

現状のスイムの練習量は週1~2回2000m程度と少ないがロスの少ないフォームが確立しているので感覚さえ忘れなければ問題ない。レース全体のウォーミングアップとしての位置付け。

バトルもなくスムーズにスタート。とにかくストロークテンポを落とさないことだけを意識して泳ぐ。大方の第1ウェーブの選手を抜いて上陸。トランジでエイジ上位陣の姿を確認する。さあ、ここからが本当のレーススタートだ。

スイム1.5km 19分47秒(ラップ4位)

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今回のレースの最大の勝負どころと見据えていたバイクパート。40kmフラット高速コースのためCEEPOのTTバイクKATANAに前輪HEDの3スポークバトンホイールGT3、後輪DURA75mmをチョイス。夏から試行錯誤(迷宮入り)を繰り返してきたポジションも元プロロードレーサーの辻善光さんからのアドバイスにより、完璧に近い形にすることができた。

更に奇遇にも同じ宿だった辻さんと金曜の夜に会食。レースの戦略会議。驚くべきことに辻さんの話は聞くだけで速くなるのだ!それだけバイクは頭を使う競技ということ。非常に濃い時間を過ごすことができた。

現状のバイクのトレーニング量は週60~80km。エイジグルーパーとは言え、これまた恥ずかしいくらい少ないがそれでも技術と機材、頭脳を使うことで速くなる。そこが面白いところだ。直前水曜日の調整練習30kmでも感覚はよく、今回はイケるという感覚があった。

更に金曜日に移動途中に天孫降臨の地、高千穂にて30kmの刺激を入れておいた。これで更に感覚を高めることに成功した。土曜日は鏡花水月ブース出展のため乗らなかった。

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話をレースに戻そう。トランジションを出てすぐに第1ウェーブの選手数人を抜かす。25-29チャンプのシモン選手もかわす。目標は前方に見えるブルーのウェア、35-39チャンプの駒野君だ。バイクの強い駒野君に追いつければ後続の選手達を引き離すことができるはず。行きは強い向かい風。38km/hで追いかけるが、差はなかなか詰まらない。帰りは追い風+若干の下り基調ということもあり43~45km/hで巡航。折り返しで三宅さん、下野さんとの差を確認する。思ったより大きなアドバンテージがあるがまだ決して油断はできない。
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単独で追い続けて、1周20kmを終える。あと少し…!辻さんから伝授された走り方を意識。30km手前でついに駒野君ともう一人の選手を捕らえることができた!更に清水哲平選手もキャッチ!遥か前方にもう一人独走している選手がいるがそこまで追い付くのは厳しそうだ。

しかし、後続の三宅さんから逃げ切るためにはここで守りに入る訳にはいかない!更に攻めていく!ビルトアップする意識で駒野君ともう一人の選手とドラフティングにならないように間隔を空けながらペースをあげていく。ラストの追い風区間では50km/hまでペースアップ!2番手で気持ちよくバイクフィニッシュ!

バイク40km 1時間2分29秒(ラップ2位)

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そして勝負はラストのランへと移る!

エイジ2位の三宅さんとのタイム差は約2分。このままトラブルなく順当に走り切ればまず負けることはないはずだが…相手は、愛南、日和佐、サンポート高松、富山を総合優勝している四国最恐の「小豆島の黒鬼」。40代でお台場を完走している本物のトライアスリートだ。その力は「倉敷の魔人」に匹敵する(鉄平調べ)。油断は禁物。差を把握しながらも自分の走りに意識を集中させる。

ほぼ同時にランスタートした駒野君、清水君らにはじりじりと離されていく。彼らは3分前にスタートしているため、3分以内の差に留めればあわよくば総合でもワンチャンあるかもしれん!

2.5㎞の周回コース、何度もすれ違うので、ライバルたちとの差を計ることができる。三宅さんとの差はほとんど変わらない。このまま自分の脚が持ってくれれば…!

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途中、攣りそうな予感がきたので、ここジョミを注入!みんなが走れてる!といってくれるので、調子が出てくる。2周、3周と順調に周回を消化していく。ラスト1周はビルドアップでペースを上げていく。三宅さんとの差は広がっていた。エイジ1位は完全に確定したが、総合順位でも悔いを残さないように出し切ってフィニッシュ!!
その瞬間を連続写真でご覧ください。
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最後の力を振り絞り…!

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フィニッシュテープをキャッチ!

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とりあえず上にあげてみた。

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からのどや顔!!

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からのガッツポーズ!!

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笑みがこぼれる…。

タイムは2時間2分37秒。総合3位。優勝は、まだトライアスロン2戦目の新星・浅田晃輔選手(福岡県)。その差…15秒!2位の駒野悠太選手(神奈川県)との差は6秒…!!惜しかった…が出し切った結果なので、悔いはない。

これでJTUエイジランキング(40-44歳)の日本チャンピオンに確定。来年の世界トライアスロン選手権ゴールドコースト大会に公費派遣される権利を獲得できた。

これで今シーズンすべてのレースが終了。
3月の台湾から始まり、11月の宮崎まで本当に長かった…そして、きつかった…けど、今までで一番充実したシーズンだった。それもたくさんのライバル(強敵=とも)のおかげだ。何度も気持ちが切れそうになりながらも、最後のレースを集中して戦うことができた。みんなに感謝したい。

来年は世界への挑戦が最大の目標となる。
20代の頃、エリート選手として何度か挑戦したが、はじき返された高い高い世界の壁。エイジチャンピオンとしての誇りを胸に世界へ勝負に挑みたい。

今シーズンを通して応援、サポートしてくださった皆様、一緒にレースで戦った選手の皆様、ありがとうございました!来年もさらに高みを目指して切磋琢磨していきましょう!
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