福島県会津若松市で開催されるうつくしまトライアスロンinあいづに初参加。
雄大な磐梯山や美しい猪苗代湖に代表される福島県の景勝地・会津盆地。
スイムは、日本第4位の大きさの猪苗代湖で泳ぎ、バイクは、40㎞ワンウェイで磐梯山麓を走り、下り高低差が300mという珍しい高速コース。ランは会津大学の敷地内を走る。
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メンバーは招待選手に
この大会2連覇中のエース栗原、佐渡ロング三冠の河原勇人、若手エリート選手の阿部有希(JTU強化B指定)、鋤崎隆也(JTU強化C指定)、そして、自分と同エイジ(40-44)カテゴリーの最強バイカー松丸真幸、その他、エイジ強豪選手が多数終結。夏合宿を経て徐々にコンディションは上向いてきているものの、前回の富山大会では総合27位(エイジ3位)と沈んでいるだけに、今回の目標は総合入賞となる6位以内に設定。エイジ2位に入れば、エイジランキングポイントが27点となり、11月の日本選手権宮崎大会の出場権を獲得できる。富山大会で圧倒的な力の差を見せつけられた松丸さんには負けたとしても、かつてのライバル河原君には負けられない!

大会前日、受付を済ませた後、バイクコースのフラット区間序盤15kmを試走、残りは車でざっと見ておく。下りなのでコースを知っていないと攻められないが、時間もないので仕方がない。大会プログラムの表紙に乗っていたコースマップがちょうどよいサイズだったので、DHバーの間に貼っておくことにした。濡れても大丈夫なように上から養生テープを貼っておく。これが大正解だった。


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コース試走を終えたあと、バイクを預託する。大会当日はフィニッシュ地点の会津大学に車を停めて、シャトルバスでスイムスタート地点まで移動するためだ。トラバッグも、スイム用、ラン用と複数用意しなくてはならず、スタートとフィニッシュが分かれていると何かと大変である。選手はもちろん、運営側も非常に苦労が多いはずだ。なぜこんなコースなんだろうか?と疑問が沸くが、その答えは、大会当日の森崎JTU副会長のご挨拶で知ることになる。当初はフルのロングディスタンスとして企画されたあいづ大会。アイアンマン琵琶湖が彦根城にフィニッシュしたようにライトアップされた会津城にフィニッシュを持っていきたい...そこには今は無きアイアンマンジャパン琵琶湖大会へのオマージュが込められていたのだ。いまだ実現はできていないものの、運営側の熱い想いを垣間見ることができた。

当日の朝シャトルバスで移動中、河原君がバイクでスタート地点まで移動している姿を目撃。上り基調で30㎞近くあるんだけどな...。レース当日もトレーニングに余念がない。さすがロングのスペシャリスト。

かなり早めに会場に到着したので、トランジションをセッティングした後、スイムウォーミングを入念に行う。富山大会ではスタート前のバタバタでスイムウォーミングアップができなかったため、まったく体が動かず泳げなかった。今回は違う。まずは第1アップで20分程度。体をほぐした後、ドリルとダッシュを入れておく。そしてスタート直前の第2アップでもう一度感覚を確かめる。非常に感覚良好。いけそうだ。
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スタートは水深1mくらいの足がつく深さのところからのフローティングスタート。自分は40代なので、第2ウェーブ。前のウェーブ(~39歳以下)とは2分の差。レースプランはこうだ。ずは第1ウェーブ200人をスイムでほとんど抜かす。バイクで先頭までプッシュし、同じウェーブの松丸さん、河原君よりも早くランに入る。そうでないと勝ち目はないだろう。今日の調子ならばいけるはず...!

スイムスタートして250mもいかないうちに第1ウェーブ最後尾の選手に追いつく。とにかく切って切って切りまくれ!選手と選手の間をすり抜けるように、抜いていく。440mで一旦折り返し、更に前を目指す。800m手前でエース栗原を捕える。よし!ラスト400mは大方の選手をパスしたため、まばらになって泳ぎやすくなってきた。向い波に対してはピッチを変えてスピードを維持する。ラストのブイを回ると、足がつくので、ドルフィンを多用する。ちょい前に4~5名の集団が見えるが、結構飛ばしてきたので、息が上がってしまい、波打ち際のランがキツイ!何とかトランジションで追いつき、集団とほぼ同時にバイクスタート。観客から10位集団だと教えられる。想定通り第1ウェーブ上位陣と一緒にバイクスタートすることができた!

スイム1.5㎞ 20分58秒(3位)

しかし勝負はここから。バイク前半のフラット区間20㎞が勝負。後半の下り区間では差がつきにくい。後半は脚を休められるので、バイクは20㎞でオールアウトするつもりで、前に見える選手を一人一人とパスしていく。調子は悪くはない。バイクスタートから一人なかなか追い抜けない選手がいたが、10㎞地点のちょっとした丘でアタックして一気にパスする。15㎞地点で観客に自分の順位を確認すると「3位!」と教えてくれた。恐らく前を走るのはエリート強化指定の二人のみ!順調だ!

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 写真提供:Takashi Endoh

20㎞からお待ちかねの下りパートに入る。下りは嫌いじゃない。しかし、下りに入ってみると、強いアゲインスト(向かい風)。スピードが予想以上に出ない。しかも、ここまでかなりハイペースできたので脚に疲労を感じてしまう。前には遥か彼方まで選手影はみえない。しかし、ペースは悪くない。この順位をキープさえすればいい……しかし、それは甘い考えだった。

22km地点でディスクの轟音とともに、一人の選手が自分を追い抜いていく。一瞬目を疑うが、それがスーパーバイカー松丸さんだと気づくのに秒もかからなかった。ヤバい...この位置で抜かれるとは...!ここは絶対に食らいつかないと、と自分もギアを上げる。

...な......ついていけない...だと?ドラフティングゾーンの10m以上開けていても、前に目標がおり、後ろから追うことでの心理的優位さは確実にある。しかし、松丸さんのバイクはそれをまったく許容してくれない。どんどんと遠ざかっていく。レベルが違い過ぎる。分かってはいるが、なかなか理解できない。くそう。同じエイジだぞ?

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写真提供:Takashi Endoh

圧倒的な力の差を見せつけられ、気持ちが折れそうになるが、まだこれでも4位(しかも第1ウェーブとは2分のアドバンテージ)だ。最後まで諦めちゃダメだ!

バイクフィニッシュ地点の会津大学を目指す。ここでDHバーに貼り付けておいたコースマップが役になった。次にどちらに曲がるのか?いったん降車しなくてはいけない踏切がいつくるか?高速を越えたからもうすぐフィニッシュだ...といった予想ができ、初めて走るコースでは大きなアドバンテージとなった。

バイク40㎞ 1時間5分04秒(5位)
スプリット 1時間26分03秒(3位)

松丸さんに続いて総合4位でバイクフィニッシュ。最後の種目であるランへと移る。スタートして1㎞を過ぎたあたりで、2人の選手に追い抜かれる。一人はディフェンディングチャンピオンのエース栗原、もう一人は?わからない。エースと同じペースで上がってくるとはきっと名のある選手のはず。二人についていこうとピッチを上げるが、ジワジワと離されていく。折り返しで先頭、後続との差を確認。先頭はやはり阿部、そして遅れて鋤崎。鋤崎はかなりキツそうだ。3位に松丸さん、4位、5位にエースともう一人の選手。自分の現在位置は6位。粘れば総合入れる!

1周目半ばで、元インカレチャンプの原智哉君に抜かれる。昨年の大阪城でも負けているので、彼もマークしていたが、やはり来たか...。これで7位。まだ2分のアドバンテージがある。気温がぐんぐんと上昇。非常に暑い!エイドが待ち遠しい。暑さで朦朧となってきたときエイドが見えた!と思いコーナーを曲がる。しかし、曲がった先はコースではなかった。

「鉄平さん!そっち違いますよ!」
と自分の後ろを走っていた選手が教えてくれた。30-34カテゴリーの強豪、星大樹君だった。おかげですぐにコースに復帰。星君には抜かれてしまったが、感謝しかない。

その星君もどんどんと前に遠ざかっていく。脚がうごかない...。このまま失速して終わるのか?自分の後ろはかなり差が開いていたので、このまま無難に走り切れば総合は逃してもエイジ2位には入れるだろう。そう弱気になり始めたが、2周目の折り返しで前を確認すると、ランスタート早々に抜かれたエースとの差が1周目からほとんど変わっていなかった。2位を走っていた鋤崎君も潰れている。みんなキツいんだ。ここで頑張らねばいつ頑張るんだ?もう一度自分に鞭を入れる。そこからビルドアップしていく。

キツイ...キツイ...でも楽しい。これがトライアスロンだ。
もう自分の順位はわからない。とにかく出し切ってフィニッシュするんだ!
ラストまで力を抜かず走り切る。

フィニッシュ!!
やりきった。冷たい水を頭からかける。

ラン10㎞ 41分45秒(19位)

ウェーブ差があるため、順位はすぐにはでない。
戦ってきたライバルたちと健闘を讃え合い握手をかわす。
フィニッシュエリアで振舞われるガリガリ君を食べて待つ。
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そしてリザルト発表。
総合4位、エイジ2位!!
よっしゃ、やった!!

総合タイム 2時間07分47秒

5位のエースとは14秒差。7位の星君まで50秒差。
諦めなくてよかった!
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入賞メンバーで記念撮影。
1位阿部有希、2位松丸真幸、3位原智哉、4位竹内鉄平、5位エース栗原、6位鈴木貴弘。
6位の鈴木貴弘君はなんとクロスカントリースキーが本職の選手だった。
負けなくてよかった...!

ちなみに優勝した阿部君は、バイク序盤で落車、更に踏切に引っかかってタイムロスしていたそう。
それでぶっちぎりの優勝とは...(゚Д゚;)ゴクリ

表彰式では、ソースカツ丼と地元の野菜を使ったカレーが振舞われる。
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あいづ大会、ローカル色があり、コースも特色があり、おもてなしも素晴らしい大会だった。
また機会があれば、ぜひ参加したい。

今年のメインレース、エイジ世界選手権ゴールドコースト大会まであと3週間。
良い刺激が入った。更にコンディションを上げていく!!