『鏡花水月』ついに実戦投入!その成果は?
 第3話 「鏡花水月の快進撃!!」

「既存のウェットスーツで満足できないなら、オリジナルのウェットを作る。」(※第1話「既成ウェットスーツの限界。」)なにより、自分にフィットしたウェットさえあれば、自分のパフォーマンスをフルに発揮できるはず。2016年の年末。オリジナルカスタムメイドウェットスーツ『鏡花水月』の試作品第1号がついに完成した。
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最初の試作品は、今までにない泳ぎの感覚を自分にもたらした。スタッフやスクール生も含めた確かな手応えだった。(※第2話「究極のウェットスーツ、開発始動!」

できた試作品を自らが着て泳ぎ、すぐに次の試作品にフィードバックする。現役トライアスリートだからこそできる手法だ。2017年シーズンインに向け、年末からすでに3回のトライが終了していた。
改良バージョンには確かな手応えがあった。しかし、高強度&高負荷のレース環境下では実際どうか?試してみないと分からない点が多かった。圧倒的に実戦(レース環境)でのテストとデータが足りない。
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そんな折、台湾南部の都市、高雄で3月初旬に開催される「高雄愛河國際トライアスロン」からオファーがあった。知り合いの台湾人トライアスリートからの招待だった。

国内のシーズンイン(4月中旬)までには期間もあり、身体は十分に仕上がってはいない。しかし、『鏡花水月』試作品のテストには、願ってもいないタイミングだった。出来上がったばかりのプロトタイプ第3号と第4号をひっさげ、台湾へと飛んだ。一刻も早く、本番のレースで性能を試してみたかった。

高雄愛河国際トライアスロンのスイムコースは、街中を流れる愛河(淡水)を泳ぐ。淡水は海水に比べ、浮く力が少なく、ウェットスーツの浮力をテストできる絶好の機会だった。

アスリートとしては当然、レースの結果を求めたい。なにより『鏡花水月』のデビュー戦でもある。テストとはいえ、いや、テストだからこそ全力で試してみないことには評価は下せない。自身のコンディションは、まだベスト時の6~7割。勝つためには、スイムをトップグループで上がることが絶対条件である。

トライアスロンのスイムスタート時には、通称「バトル」といわれる選手同士のぶつかり合いが発生し、非常に体力を消耗してしまう。バトルに巻き込まれないためには、長距離とはいえ、スタートダッシュのスピードが求められる。そのため、スタート直前の緊張はピークに達していく。

合図が鳴り響き、750名の選手が一斉にスタートする。
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驚くほどあっけなく、集団からの抜け出しに成功した。トップを泳ぐのは、自分よりも泳力が上の台湾ナショナルチーム若手ナンバー1の選手。既存のウェットスーツよりもキックが打ちやすいので、彼のスピードの変化にも十分対応し、ぴったりとマークすることができた。また、既存のウェットに感じていた肩回りのストレスもなく、最後まで体力を温存して泳ぐことができた。

クロール(crowl)は元来、英語で「這う」を意味する。しかし、『鏡花水月』着用時の感覚は「滑る」に近い。ボディポジションがをサポートする機能のおかげで、重心の移動がとても滑らかなのだ。

スイムフィニッシュは第2位/750人中。今の仕上がり具合では、信じられない順位だった。

台湾のレーステストで、『鏡花水月』のポテンシャルは証明された。それは同時に、自分の理論の証明でもあり、大きな自信にもなった。オリジナルウェットスーツの開発を、より追求しようと決心させる出来事でもあった。
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更なる改良を加え、3月頭には完成品として世に出せる体制が整った。

待望の2017年日本トライアスロンシーズン開幕。
この年の竹内鉄平は 『鏡花水月』をまとい、自分自身も驚く快進撃を続けることになる。

2017年シーズン 竹内鉄平 『鏡花水月』 使用大会実績
■石垣島トライアスロン大会 / 総合2位(エイジ 1位)
■宍喰オープンウォータースイムレース(1.5㎞) / 総合優勝
■蒲郡オレンジトライアスロン大会 / 総合5位(エイジ 1位)
■大阪城トライアスロン大会 / 総合5位(エイジ 1位)
■湯原温泉トライアスロン(ミドル) / 総合優勝
■エイジランキング最終戦 宮崎大会 / 総合3位(エイジ 1位)

■日本トライアスロン連合 エイジグループランキグ(40~44歳)/ 日本ランキング1位

石垣島大会では、40歳にしてスイムラップ18分台という、エリート(実業団選手)時代に迫るタイムを叩き出した。国内エイジ(年代別)ランキング対象大会で数多くの1位を獲得。そして、これまでどうしてもあと一歩届かなかった日本一の座(40~44歳日本ランキング1位)につくことができた。

『鏡花水月』なしでは、たどり着けなかったゴールだったと思う。
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オリジナルウェットスーツ 『鏡花水月』は、いつしか自分自身が広告塔の役割を担っていった。大会での結果や泳ぎなどが注目を集め、『鏡花水月』の名が一緒に広まっていった。

ライバル選手からは、「鏡花水月を着た竹内鉄平は、追っても追いつかない。」「届きそうで届かない。まるで蜃気楼のようだ。」とも評された。まさに、『鏡花水月』をまとったのだ。

やがて、『鏡花水月』が欲しいという人たちが現れはじめ、『鏡花水月』はトライアーティストの商品として展開されることになる。

『鏡花水月』は自分たちの理想をすべて詰め込んだ、コスト度外視のウェットスーツ。どうしても価格設定を高くせざるを得なかった。コスト面で欲しくてもなかなか手が出ない人も多いはず。

そう考えて新たに誕生したのが 『水陸両用』 だった。コンセプトと設計は 『鏡花水月』 と同様に、生地の表面加工やグレードを変えることで、価格を抑えたモデルだ。こうして2種類のラインナップが完成した。どちらも全身30ヵ所以上を採寸するフルオーダー仕様である。
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評判は上々だった。楽に泳げ、明らかにタイムが速くなったと、みんなが喜んでくれた。徐々に口コミで噂が広まり、遠方のまったく知らない方も購入してくれるようになっていった。

自分が開発した製品がお客さんに選ばれ、喜んでもらえるのは本当に嬉しかった。

ありがたいことに、 『鏡花水月』 と 『水陸両用』 を取り扱いというショップが現れ、興味を持ったスクール指導者からも声が掛かるようになっていった。大会を通じて交流のある台湾にもファンができ、何着か購入してくれた。


いつからか、「究極のウェットスーツを作る。」 という目的は、「世界一のウェットスーツを作りたい。」という目標へと変わっていた。更なる快適性を求め、快速性を目指し、機能の向上を取り入れ、もっと改良を重ねていく。

トライアーティストのオリジナルウェットスーツは、まだまだ進化する。
『鏡花水月』 も 『水陸両用』 も、まだここがゴールではない。

『鏡花水月』の意味は、鏡に映った花、水に映った月のように、そこにはある(見える)が、実際には掴むことができない、感覚でなければ捉えきれないもの。

ぜひ実際に着て泳いでみて体感してほしい。
今までに感じたことのない感覚を!体感すればきっと世界が変わる!!


ウェットスーツ 『鏡花水月』 『水陸両用』 開発ヒストリア 完。

公式サイト http://tri-wet.asutama.com
E-Mail    tri-wet@asutama.com