2016日本トライアスロン選手権レースレポート 前日編

シーズン最後にして最大のターゲットレースである日本選手権。
40代のスタートとなる今シーズンはエイジレースを主戦場にして戦ってきたが、日本選手権だけは特別な舞台だ。

一昨年、昨年と予選を通過できず出場を逃しており、シーズン当初は、毎年落ちてゆくスピード、回復力、それに反して増大する仕事の負荷と責任......30代半ばを越えた多くの選手がそうであるように、どこかで、もうこのままエリートレースからは遠ざかってゆくのかな?という気持ちが芽生えていた。

しかし、今年から南山大学、日本福祉大学のコーチに就任したことで、若者から触発され、スクール会員さんの頑張りに励まされ、何より同年代のライバル達に刺激を受けて......もう一度戦いたい!という思いが沸々と蘇ってきた。それが予選会となる東海ブロック選手権の2か月前。そこからお台場のスタートラインに立つことを常にイメージして、トレーニング、そしてレースを重ねてきた。

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集中して臨んだ東海ブロック予選会では4位(ブロック枠1位)で権利を獲得。その後伊勢志摩・里海トライアスロンのレースディレクター業務に専念しながらも6月・7月エイジレースを連戦。思ったような走りがなかなかできずに苦しみながらも、8月9月と一度崩れたベースの立て直しを図り、2週間前の村上大会を経て、調子を上げてくることができた。

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また大会の1か月前から、縁あって東郷施設サービス様からお借りした低酸素トレーニング機器(小型テント)を睡眠時に導入。どれくらいの効果が得られるのか?またどうやって使ったらよいのか?情報はほとんどなく、手探りであったが、とにかく藁にもすがるつもりで、毎晩高度1800~2400m程度で寝ることに。吉と出るか凶とでるかはやってみないとわからない。

今シーズン絶不調であったランについては、村上大会後、1週間前のスプリントデュアスロントレーニングでまずまずの手ごたえをつかむことができた。日本選手権で一番カギとなるスイムについては、プロフェッショナルスイムコーチに見ていただき、感覚は以前より良くなってきている。

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ただ、いかんせん疲労の回復速度がかなり落ちてきているので、今回は余裕を持った調整期間をおいてレースに臨むことにした。回復を促すサプリメントもしっかりと摂るように意識。

レース週になっても仕事の忙しさに紛れて緊張感はあまりなく、逆にレースのことを忘れないようにするためにFBで毎日カウントダウン。金曜日に東京入りして、万全の状態で臨めるように、自然整体院エイド・ステーションの増田院長にも土曜日から来ていただき、コンディショニングしていただいた。応援してくださっているATEX株式会社の傍島社長には前日ヒルトンホテルで壮行食事会を開いていただき、激励をしていただいた。気合い十分!

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昨年からバイク・ランコースが変わっており、コース試走が一部しかできていないという一抹の不安はあるが、体調、状態は万全。今回男子60人中、40代は3人のみ。10代、20代の生きの良い若手選手、30代の力のあるベテラン選手に今の力がどこまで通用するのか?本当に贅沢な燃えてくるシチュエーションだ!このワクワク感、戻ってこれてよかった!そして当日の朝を迎える...。

 スイム編

村上大会のエリートレースを観戦して思ったが、やはりスイムのレベルの高さが数年前とは比較にならない。今の自分の泳力(400m4分35~40秒)では、良くて第3パックにしか入れないと予想。

ただ、もう数年前からたくさん距離泳ぐと、肩の付け根に痛みが出るので、泳いでも1500~2000m程度と練習量に頼ることはできない。逆に少ない練習でいかに感覚を上げるか?を常に考えて練習してきた。

完走を目標にするのならば、第3パックでも十分だが、上位(20位以内)を狙うとなると、第2パックまでに入ることが絶対条件だ。もちろん目標は完走ではなく、20位以内に設定。どう泳げばよいか?をイメージトレーニング。過去の経験から答えは導き出されている。

スタートグリッドはランキング順に選択。自分は32番目/60人中とまずまずのナンバーをいただいていたので、恐らくスタート位置は真ん中あたりになると予想。ウォーミングアップ時に、真ん中の位置からの目標物を確認。また、強風のためブイが小さく見ずらいものに変更になっていたため、第1ブイから第2ブイの方向と目標物もしっかりとチェック。

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準備中は土砂降りだったが、スタート時には雨も上がった。スタートは横一線。まずは隣の選手よりも一馬身前に出ることで最初のバトルを回避。自分のスタート位置の真ん中あたりはポッカリと穴が空いたような状況で、第1ブイ(オレンジ三角ブイ)までほとんどバトルなく真っ直ぐに泳げた。ブイのターンに備えて徐々に右側にポジションを移していく。ブイのターンはバトルに巻き込まれようが、とにかくイン側に切り込むことが大切。うまく回れて第2ブイ(小さな玉ブイ)へ。

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前方を見ると全体的に大きく右側に逸れている。明らかにみんなブイを見失っているな...。自分は決めておいた目標物の方向にめがけつつも、集団からは大きく離れないようにぎりぎりのラインを選択。これがうまくいき、第2ブイを回るときに前の集団に追いつくことができた。第3ブイを回って岸に戻ってくるときはとにかく前と距離を開けないように泳ぐ。

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1周目上陸時に、自分が第2集団のケツについていることを確認。この位置からは絶対に離れちゃだめだ!勢いよく飛び込む。苦しいが、まったく余裕がないレベルではない。特に呼吸は比較的余裕がある。呼吸に余裕があれば、フォームを意識することができる。できるだけ楽に、無駄な力を使わないように泳ぐ。隣を泳いでいるのが、インカレスイムトップで上がった杉原選手(流通経済大学)であることに気づき、よい位置で泳げていることを確信する。

ラストの直線に入ると、周りのペースも上がるが、少しでも前で上陸できるように、自分をプッシュする。集団の最後尾だと、トランジションでミスをするとそれで終わる。自分の後ろに何人かを残してスイムフィニッシュしたい。集団の後方から2~3人を交わして前に上がる。

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そして上陸。周りの選手を確認。平野選手、山下選手、マイハニー疋田さんが目の前にいる!桶谷も確認。その他スイムが得意な学生、若手選手を含む13名でトランジションに入る。
よし!これはかなり良い位置だ!

スイム19分12秒(19位)

 バイク編

昨年より新しくなったバイクコースは豊洲折り返しの5km×8周回=40km。ギャラリー(VIP)の前を走らせるためか、毎周毎にトランジションエリアに入っては出ていくレイアウト。昨年も多く落車があったポイントであるが、前日も当日も設営中のためその部分の試走はできなかった。

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スタートしてすぐに12名ほどの集団が形成される。
まずいな...なんだかとってもキツイぞ。。
とりあえず集団最後尾について、呼吸を整える。
そして1周してトランジション(最近は略して「トランジ」と言うらしい...)に戻ってくる。
トランジの入り口が非常に狭い!
集団最後尾でかなり減速して入る。
雨で濡れたカーペットがかなりの転がり抵抗を生んでいる。
トランジ内で前の選手と少し差が開く。
ここで遅れたらまずい...と、焦りが生まれたその瞬間。
トランジの出口コーナーでバランスを崩す。
滑り止めのために引いてあるはずのゴムマット...まったくグリップが効かない!
そのまま滑って転ぶ...。

肘と腰に一瞬痛みが走るが、すぐに起き上がりバイクをチェック。
チェーンがアウター側に落ちていることを確認。
ギアをインナーに落としてペダルを回すとすぐにはまった!
この間10~15秒くらいだと思うが、すで集団は前方200~300m先に進んでいる。
飛び乗り漕ぎだす。

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一人で追いつけるか!?
いかん、無理かも...。
いや、諦めるな!!
葛藤しながらも、とにかく前に進むしかない。
前の集団から数人の選手が落ちてきている。
まずはそこに追いつく!

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前から落ちてきた平野司、北條巧らに追いついて協調するように声をかける。
何人かを吸収して前を追うが、自分もキツイのでこのメンバーで前に追いつくことは不可能と判断。
悔しいが後続集団を待って吸収されることを選択する。

ちょうど2周目を終えた時点で後続の集団と合流する。
メンバーは、ベテランの域に入りつつある外山、梅田、インカレチャンプ内田、若手のサトケン、山崎、鋤崎、仲尾ら。
この集団が機能すれば、前に追いつく可能性はある!

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ダンシングのキレがいまいちで、立ち上がりで遅れるが、コーナー・Uターンで脚を削られないように、周回を重ねる度に少しずつポジションを前に移動させる。
外山君が集団コントロールしてくれている。
怒鳴るのではなく、「いいよ!いいよ!」と褒めて伸ばす。
さすがベテランよくわかっている!
自分も余力があれば、集団コントロールに加わりもっと強力に牽引したいのだが、ついていくのに必死なので、とりあえず前方で回っているローテーションには入るレベルで走る。

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前から疋田さんと数人が落ちてくる。恐らく落車だろう。
最終的に第一パック6名(古谷、田山、細田、白羽、渡部、前田)、1分遅れて第1パックから遅れた2名(小田倉、山本)、そして自分が始めにいた第2パックは落車によって約半数(6人)になり先頭から1分30秒、自分達の第3パック(13人)は先頭から約2分30秒のビハインド。前には追いつけなかった……か...。

 ラン編

バイクトランジションに集団の前方で入り、22位でランスタート。
まだ目標の20位以内が狙える位置にはいる。
ランは周りのペースに合わせるのではなく、自分のペースで入って、ビルドアップして行く作戦。

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ランコースは2.5km×4周回=10km。
練習の感覚では少なくとも3分45秒(10km37分30秒)くらいでは押していけるはずだが、バイクで余裕がなかった影響がどうでるか?
集団から遅れながらもピッチを意識して我慢の走りで序盤を凌ぐ。
足取りは重いが走れていないわけではないので、徐々に動きをよくしてペースを上げていきたいところ。
沿道からは大声援。走りで応えるしかない。

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前とはじわじわと差が広がっていく。ついていきたいが、ついていけない。後続集団からランの強い選手たちが襲い掛かってくる。格好の餌食だ。
何人かに抜かれるたびにリズムを合わせ、少しでもつこうと抵抗する。
兵庫の前田隼也君、食研の石塚君&平松君(なんで後ろにいるんだ?)に抜かされる。スーパーランナー末岡君には瞬殺される。なんじゃあの走りは...(;゚Д゚)?

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中盤少し腿を攣りかけるが何とか踏みとどまる。
前から落ちてきた黒尾丸(兄)と並走が続く。
一人よりも二人のほうがペースが作りやすい。
「一緒に上がっていこう!」と声をかける。
ケンズコーチの原田君、日本大学の福田君に抜かれる。
ここは踏ん張りどころだ!
一つでも順位を上げたい(落としたくない)!
最終周、何とか逃げ切りたかったが、先頭の田山君にラップされる...。
同じレースを走ってはいるが、まるで別のレースをしているような...。
やはり田山か......10勝目おめでとう!

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前に追いつくことはないが、最後まで全力を振り絞って走る。
フィニッシュロードに入ると、両サイドの観客からたくさんの手が差し伸べられる。
こんな順位でもたくさんの人がおめでとう!と声をかけてくれる。
ハイタッチをしながら、喜びと悔しさの両方の感情が溢れてくる。

31位(42人完走/60人出場)でフィニッシュ。
夢のような時間は終わった...。
やはりこの舞台は最高だった...。
帰ってこれてよかった...。
みんなありがとう...。

また来年、チャレンジしようと心に誓う。
過去の自分...いや、今の自分と戦うために...。

Fin.

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